『源氏研究』

nifty:FBUNGAKU/MES/12/01203に加筆



「源氏研究」第八号〔特集〕新たなる入門【インターセクション】に
笑芭が寄稿した「雲のかけはし―研究者と愛好家の間に―」を
翰林書房の許可を得てこちらでもアップさせていただきました。



『源氏研究』……この雑誌を前にして、買おうか買うまいか悩まれた方は けっこう
多いのではないでしょうか?

パッと見た目 とってもあか抜けていて、ついつい「ちょっと手にとってみようかな」
という気にさせる反面、タイトルはあくまでも『源氏研究』。
「う〜ん、研究ってことは やっぱり素人にとってはわけのわからない言葉が並ん
でいる 手が出せない本なのかなぁ?」という不安を抱いたのは、なにも私一人で
はないことと思います。

そんな『源氏研究』が創刊されたのは1996年4月のこと。そして、私が初めて『源
氏研究』を手にしたのはその年の6月。@ニフティーの会議室●『源氏物語』を味
わう
で、SAEさんから紹介していただいたのがきっかけでした。

そして、源氏物語の研究者や研究者予備軍だけでなく、在野にあって 活動を続け
ている無数の研究会のメンバーや、各種サークルで原文を読もうとしている人た
ち、他にも『源氏物語』を愛読しているすべて人たちを 読者層として想定された上
で、この雑誌『源氏研究』がつくられたのだ ということを 私はそこで知りました。

ちょうどその頃、@ニフティーの会議室●『源氏物語』を味わうを覗き始めた私も、
一応は「原文を読もうとしている人たち」の一人だと 言えなくはなかったかもし
れません。
でも、その時点で 私が読んだことのある源氏物語関係の本と言えば、大和和紀
さんの『あさきゆめみし』と 田辺聖子さんの『新源氏物語』だけ
でした。

もちろん、論文とか研究書などは一度も読んだことがなく、さらに言ってしまえば、
研究者の方のお名前などただの一人も知らず、そもそも「研究者」という単語が存
在することさえ知らなかったという究極のど素人だったのです。エッヘン( ̄^ ̄)
(って、いばってどーする! _(xx;)☆\(ーー;) )

というわけで、雑誌『源氏研究』のお知らせ(nifty:FBUNGAKU/MES/12/01128)
を拝見した時にも、「読んでみたい気はするけど、どうせ私が読んでも なんのこっ
ちゃか ちんぷんかんぷんで、猫に小判だろうなぁ」と思っていました。

ところが、会議室で、SAEさんから(『源氏研究』には全く関係のないことで)思いも
かけずお声をかけていただき、俄然 好印象を抱いてしまったわけです。(*^^*)

で、「こうなりゃ 話は別だ! 今はわからなくても いつか理解できる日がくるかもし
れない。その時のために、とりあえず 入手するだけはしておこう!」と決心したの
でした。あぁ、何て単純な私。(^◇^;)

これが、SAEさんとの そして『源氏研究』との 運命の出会いでした。(^o^)

というわけで、最初は おっかなびっくり開いたのですが、巻頭の座談会がとてもお
もしろくて、(´o`)ホッ としたことを 今でもよく覚えています。

その座談会では、ゲストに 橋本治氏をお招きして、『源氏研究』の編集をされて
いる3人の先生方と、王朝文化と性をテーマに「物語の論理・<性>の論理――
『窯変源氏物語』との交感――」というタイトルで お話が盛り上がっていました。

そうそう、3人の先生方とは、三田村雅子氏(編者代表で、NHK教育テレビ「古
典への招待」でも講師をされていましたよね。フェリス女学院大学教授),河添房
氏(東京学芸大学教授),松井健児氏(駒沢大学教授)です。

この巻頭座談会のおかげもあって、私が初めて『源氏研究』を読んだ時の感想は、
「何となく『源氏物語』のプロまたはセミプロしか読んじゃいけない本というイメージ
をもっていたけど、それほど かたく考えなくてもよさそうだな。けっこうおもしろいや
んか! (^o^)」っていうことでした。もちろん そういうプロまたはセミプロの方が読ま
れれば、私には発見できないような「おぉ、さすが!」と感じる箇所がより多くあっ
たのでしょうが、私くらいの初心者でも、それなりに楽しめました。

さて、時は移り……。現時点(2001年6月)で刊行されている6冊について ごく簡単
に紹介しておきましょう。

   第1号 1996年 特集「王朝文化と性」
   第2号 1997年 特集「身体と感覚」
   第3号 1998年 特集「<歴史>の想像力」
   第4号 1999年 特集「遊びと空間」
   第5号 2000年 特集「源氏文化の視界」
   第6号 2001年 特集「21世紀を拓く」

毎号、巻頭に非常に刺激的な インタビュー or 座談会 or シンポジウム の記事が
あり、上記 橋本治氏の他にも、座談会では 山口昌男氏,山折哲雄氏,河合
隼雄
氏,藤井貞和氏、インタビューでは 千野香織氏,松岡心平氏,瀬戸内
寂聴
氏,大和和紀氏,尾崎左永子氏、他にも、篠田正浩監督,大塚ひかり氏,
俵万智氏など、著名な方々が続々登場しています。

また、それぞれの特集に関する「源氏物語研究の今!」がわかる最新の情報が
発信されており、それは 回を追うごとに ますます充実しています。(創刊号と最新
号の厚さの違いを見るだけでも明らかです!)

あえて雑誌というスタイルをとられたのも、内外の研究の最先端を示し、国文だけ
ではなく 他領域の識者の意見をも吸収する、学際的な誌面を目指されるのに 都
合がよかったからでしょう。

今では私も いろんな研究者の方のご論文を拝見するようになりましたが、そこへの
とっかかり 最初の第一歩を作ってくれたのが この『源氏研究』でした。

一般に研究書というものは「値段が高い」「書いてある言葉がやけに難解」という 
素人にとって手の出しにくいものがほとんどです。

マンガや小説から『源氏物語』に入り、しだいに『源氏物語』の楽しさを知るように
なった人間が「源氏物語をもう少しじっくりと味わってみたいな」と思った時、お値
段の上でも内容においても 手にすることが可能で、かつ 私たち読者を 源氏
物語の奥深い世界へ導くべく 一歩先に立ってリードしてくれる本
 というのは、
ありそうでいて なかなかないのが実情です。

そんな中で、私たち一般の読者に 源氏物語研究の世界を垣間見せてくれ、そこへ
の橋渡しをしてくれているのが この『源氏研究』だと言えるでしょう。

第6号では、シンポジウム「21世紀の源氏物語へ」が紹介されていましたが、その
中で 三田村先生が、昨今のブームにも関して、こんなお話をしておられました。

   私ども『源氏物語』の研究者がそれまで自覚しなかったような、潜在的な読者
  層が掘り起こされてきていることも確かです。皆の中に、やっぱり『源氏物語』を
  知りたいという気持ちがある。そういう欲望を呼び覚ましていったということを、
  改めて痛感させられました。私たちももっと貪欲に、敷居を低くして、源氏物語
  について知りたいという人たちに応えていかなければならないのだなと反省して
  います。(引用終了)

これは、私にとっても 大変嬉しいお言葉でした。\(*^^*)/

源氏研究』という題名から考えても、全面的に敷居が低くなることなどは 今後も
ないでしょうし、現読者でそれを望んでいる人もいないことでしょう。
でも、『源氏研究』の代表編集者である 三田村先生が、そういうお気持ちを忘れな
いでいて下されば、これからも専門家だけでなく、ひろく『源氏物語』の愛読者一般
に開かれた雑誌として『源氏研究』を享受させてもらうことができるはずです。

『源氏研究』の今後ますますのご発展を 私も期待しています。

みなさまもぜひ一度 大きな書店でご覧になってみて下さいね。 (^o^)

なお、最新号の内容紹介については、河添房江氏のサイトをご参照下さい。



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